コミュニケーションの有効なツールの一つであるコーチングは、昨今多くの企業で形は多少違っても導入が増えていると聞きます。
 でも、まだコーチングという言葉は聞いたことがあってもその内容を知らないという方も一方で多いと思います。
 この「コーチングが歴史を変えるシリーズ」では、江戸時代に、もしコーチングに関する知識ややり方そして考え方を理解している人々が居たとしたら、あの時代はどんな風に変わっていったのだろうかを空想したものです。
 本書はシリーズ三作目です。
 この第三作では、真田十勇士で有名な真田家を扱い、舞台を居城が置かれた信州松代としました。
 真田藩は初代真田信之から時代を経るにつれて、貧しい藩の代表格とされるまで財政状態が悪化します。そんな真田藩が最も混乱し疲弊した時代に、藩の財政建て直しに大きな功績を遺したのが家老の恩田木工民親です。彼が本編の主人公です。
 実際に彼の業績を著した書物『日暮硯』は、江戸時代に多くの写本が作られ日本中で読まれました。彼が家老職兼勝手掛にあり財政再建に当たったのは僅か四年間程であるのに、その後の真田藩は徐々に安定し、豊かになっていきました。 
 幕末には兵学者及び朱子学者でもあり思想家でもあった佐久間象山ほか、幕末に活躍した人物を生む素地を作りました。
 それまで混乱状態にあった真田藩に、何故突然に彼のような卓越した指導者が現れたのか? 如何にしてその指導能力を蓄えたのか? その解として、彼はコーチングの知識を学び、それを若き藩主や自ら編成した財政再建チームに実行したと筆者は考えました。
 では、何処でコーチングの知識を得たのか、その経緯については本書を読んで頂ければと思います。(「まえがき」より)

目次
まえがき
登場人物
第一章 リーダーの責任
第二章 恩田と原
第三章 現代へ
第四章 リーダーを育てる
第五章 家老の宣言
第六章 再生へ
著者プロフィール
神戸 博(かんべ・ひろし)
1949年横浜市に生まれる。同志社大学工学部卒。
NEC日本電気入社、25年間に亘り無線通信システムの海外ビジネスに従事。その後日本エリクソン(現エリクソン・ジャパン)に転職、14年間勤務。在職中にコーチングを学び始め、(一財)生涯学習開発財団の認定コーチ資格を取得、社内コーチを始める。退職後の2009年、個人事業として「コーチHK」を起業。企業向けコーチング及び研修活動を実施中。一方、戦国及び江戸時代には若い頃より深い興味を持ち、多くの歴史小説を読破。2012年、名古屋市内に転居、執筆活動を始める。