かつてワンマン社長として二十数年にわたり帝人に君臨した大屋晋三氏はこういった。
 「社長と副社長の距離は、副社長と運転手の距離よりも遠い」
 「社長」は、いうまでもなくその会社のトップだ。責任が重いのは当然だが、それと同時に権限がある。
 ところで、あなたは今まで社長、とりわけ外資の社長になってみたいと思ったことはないだろうか。「外資」や「社長」という言葉に何か心を動かされたことはないだろうか。
 私はこの本を手にとったあなたには、外資系企業の社長になることがそんなに特別なことではないのだ、ということを納得してもらいたい。そしてその夢にチャレンジしてほしい。
それが私の願いである。
 今、世の中で響きのよい言葉として「外資」がある。また、新聞や雑誌を読んでいると必ずといってよいほど「外資系企業」に関する記事に出合う。そこでは、疲労困慧した様子が伝えられる日本企業にくらべて、元気がよく、また働き甲斐がある場所として外資が紹介されている。実際に長らく外資系企業に勤めていた私の経験からいってもその想定は正しい。そこでは努力すれば報われることが多いのである。
 外資系に勤める人は、英語の達人であり、MBAを持っている、と思っている人が多い。私はそういった「常識」が間違っていることを皆さんにぜひとも伝えたい。そういう強い気持ちを持ってこの本を書いた。
 皆さんの希望を実現するには、特別な才能や過酷な努力を必要としない。「物の見方や考え方」をすこしだけ変えればよい。ではどのように変えていったらよいのか。それにはそれなりのコツがある。
 これから、私は皆さんにそのコツをお教えしたい。一言でいえばそれは「三カ月」だ。
 「三カ月」という時間をどのように過ごすかによって決まる。その詳しい内容はこの本を最後まで読んでいただければ、簡単にお分かりいただける。丁寧に読まなくても、飛ばし読みで十分だ。
 外資系企業に二〇年あまり勤務し、五二歳で日本法人の社長になった私にとって、皆さんのお手伝いをすることができるのは、このうえない幸せだ。(「はじめに」より)

目次
PART1 私と外資系企業
第1章 なぜ外資系企業に入ったか
第2章 外資系企業と日本企業はどこが違うか
第3章 こんなに違う米国人と日本人
PART2 外資系企業で成功する
第4章 外資系企業に入社するには
第5章 成功へのステップ「目標を立てる」
第6章 成功へのステップ「仕事の進め方を決める」
第7章 成功へのステップ 「『三分・三日・三カ月』がビジネスの鍵」
第8章 成功へのステップ「日程を管理する」
第9章 成功へのステップ「情報に強くなる」
第10章 成功へのステップ「失敗から学ぶ」
PART3 外資の社長になる
第11章 あなたが外資の社長になったら
第12章 世界で通用するビジネスマンになるための一〇力条

著者プロフィール
田中満佐人
1948年北海道生まれ。横浜国立大学工学部(1971年)、Purdue大学Krannert校経営大学院(1992年)修了。
大学卒業後、石川島播磨重工業株式会社(現 株式会社IHI)技術研究所に勤務。1979年日本TI株式会社に入社、爾来外資系企業に勤務。2000年日本ベルハウエル株式会社代表取締役社長に就任。
現在、オフィス田中、代表 (経営コンサルタント)。